麦粒腫(=ものもらい)を甘く見ていませんか。
放っておくと霰粒腫(さんりゅうしゅ)へと悪化し、切開手術をすることになるかもしれません。
麦粒腫から霰粒腫に罹った筆者が、その原因・治療・予後について体験した内容を詳しくお伝えします。

麦粒腫(ものもらい)とは何か

「麦粒腫」聞き慣れない病名です。俗にいう「ものもらい」のことです。
鏡で自分のまぶたをよく観察してみましょう。まぶたをそっとひっくり返してみます。するとまつ毛の付け根に、点々と毛穴のようなものが見えると思います。
それはまぶたの脂や汗を出す汗腺です。その汗腺から細菌が入り込んだ場合に発症するのが麦粒腫です。
分かりやすい症状としては、まぶた全体が赤く腫れあがることです。また、まばたきをすると患部に違和感があり、かゆみ・痛みを感じます。白目の部分が赤く充血することもあります。
通常であれば数日で、汗腺付近から膿が出て症状は快方に向かいます。
尚、伝染性の病気ではありませんから、その点は安心です。
但し症状を悪化させる可能性があるので、患部を不用意に触ったり目をこすったりしないように気をつける必要があります。








筆者の麦粒腫との付き合い方

筆者の場合、幼少期から頻繁に麦粒腫に罹っていました。
小児科医の先生には、「幼少期は皮脂分泌が活発であるために汗腺が詰まりやすい」「抵抗力が未発達のため細菌に感染しやすい」とよく言われました。
成人してからも数か月に一度は麦粒腫に罹っていたため、自然と自分で出来る限りの対策はするようになりました。
筆者が日々実施している対策は大きく3点あります。

一つ目は手を綺麗に洗うこと

これは基本中の基本と言えます。
筆者の場合はコンタクトレンズを使用していますので、装着の際は丁寧に手を洗い髪の毛を触らないように注意しています。洗面台の前に立って顔を見ると、ついつい髪を整えたりしたくなりますがそこはじっと我慢です。なぜなら髪の毛には意外と多くの雑菌が付着しています。髪から指に付着した雑菌が、汗腺から入り込むことも考えられるからです。

二つ目は汗腺を塞ぐような化粧を控えること

まつ毛の生え際にしっかりアイライナーをひいて、根本から立ち上がるようにマスカラを塗る。これも目の健康にはあまりよろしくありません。毎日使う化粧品は、自然と皮脂が付着し雑菌が繁殖しやすいです。そんな化粧品を使って汗腺付近を触るのは危険です。
しかしながら女性なので化粧をしないわけにはいきません。平日はきっちりメイクをしますが、休日は極力目の周りの化粧は控えるようにしています。アイメイクを落とすときは、目元専用のクレンジングオイルを使い丁寧に洗い流します。まぶたをひっくり返して、すすぎ残しがないかも確認します。

三つ目は前髪が目にかからないようにすること

一つ目の対策にもありますが、髪の毛には意外と多くの汚れが付いています。髪の毛が目にかかるとほこりが入りやすく、更に毛先で目が傷つきます。髪の毛をピンで留めるか切っておくようにしています。
これらの対策で、麦粒腫にかかる頻度はかなり少なくなりました。小さなことですが日々の対策もとても大事です。

麦粒腫を甘くみて大変な事に

自分なりの対策をしていた筆者ですが、麦粒腫が重症化した経験が一度あります。
筆者の場合、仕事のピーク時に麦粒腫に罹ることが非常に多いです。不規則な生活や満足に食事を摂らない事が災いし、抵抗力が落ちているのだと思います。更に長時間労働で、目にも負担がかかります。眠気もあり、自分でも気が付かないうちに目をこすってしまってしまうこともあります。
重症化した時には上まぶた全体が赤く腫れあがり、瞬きの度にジンジンとした痛みが出てきました。まつ毛の付け根付近から白い膿が出てくるものの、一週間しても良くならないため病院を訪ねました。この頃には、まぶたがひきつれるように痛いので、パソコンの画面を見ているのも苦痛になっていました。
病院での診断名は「麦粒腫」でした。抗菌作用のある点眼薬(クラビット点眼薬)を処方され、一週間後にもう一度診せるようにと言われました。この点眼薬はよく処方されていたものだったので、筆者も一安心でした。
今思えば、ここで麦粒腫を甘く見ていたのが大きな失敗だったと思います。
一週間後に診せるというのも、予後・経過を見るためのもので大したことではないと考えていて、今まで麦粒腫に罹った経験も、その考えをより頑ななものにしていったのです。
「仕事が忙しくて、なかなか病院には行けない」「もらった点眼薬をしていれば、経験上放っておいても治るだろう」そんな考えから筆者は一週間後の診察を放り出し、仕事に専念していました。
一週間程度で赤みはひき、そのまま何事もなかったかのように三か月が過ぎたころ異変が起きました。きっかけは、同僚からの指摘でした。
「○○さん、上まぶたが膨らんでない?」
鏡でみると上まぶたが、腫瘍のように膨らみプックリとしていました。正面を見ると気が付かないのですが視線を下に落とすと、まぶたのふくらみがものすごく目立ちました。まるで碁石がまぶたの中に埋まっているかの様。まぶたの上から患部を指で押してみると、水風船のような異物がまぶたの中にあるのがはっきりと感じられました。
特に痛みもなく赤みもなかったために全く気がついていませんでしたが、初めての経験に驚き病院に駆け込むことになりました。

切開手術に踏み切る

再度病院を訪れると、「霰粒腫」という診断でした。
麦粒腫が悪化した結果、皮脂分泌をする汗腺が完全に詰まってしまっているとのことでした。分泌されるはずの皮脂が留まり粘性化して、まぶたの中でシコリになっている状態です。医師からは麦粒腫ができてから三ケ月以上経っているため、切開手術することを勧められました。
まさか麦粒腫で切開手術することになるとは考えておらず、一瞬何を言われているのか理解できませんでした。
更にまぶたの表側から切開するか、裏側から切開するか希望を聞かれました。
表側からの切開の場合には抜糸が必要だが、裏側からの場合は抜糸が不要であるとのことでした。いずれにしても一週間程度の安静は必要とのことだったので、業務調整をして再度来院してから決めることにしました。
医師からは「今後もどんどん膿がたまっていく可能性があるので、早めの切開をお勧めする」と言われ、焦燥感に駆られ、三日後に切開手術に踏み切りました。
筆者は、まぶたの裏側からの切開手術を選択しました。気分の問題でしょうが、顔の見える部分にメスを入れることに抵抗があったからです。
局所麻酔をかけてもらったので痛みは殆どありませんでしたが、切開した瞬間に、なにか液体が出てくるような感覚がありました。消毒・止血をし、ガーゼと眼帯をつけてもらいました。手術自体は30分もかからなかったと記憶しています。

その後の療養

切開手術をしているので、痛み止めの内服薬と抗炎症目薬を処方されました。一日一回はガーゼと眼帯を取り換え、目の周りを清潔にするようにと指示がありました。
痛みはそれほどなかったのですが、右まぶたの切開手術でしたので生活全般に影響が出ました。
まず、運転ができません。
そして右目が眼帯で覆われているので、歩いていても距離感が掴めません。大きなガーゼと眼帯をしているので、近眼の人はメガネをかけるのも難しいです。可能であれば、誰かに付き添ってもらったほうが良いと思います。筆者の場合は一人暮らしでしたので、公共交通機関で帰宅し、家に簡単に食べられる食事を一週間分ストックしました。
地下鉄に乗るときも、足元の階段が良く見えず本当に怖かったです。加えて顔には大きな眼帯をしていたので、周囲の視線が痛いほど感じられました。
切開して三日間は、目の周りが青あざのようになりました。ズキズキとした痛みが時折ありましたが、我慢できないほどの痛みではありませんでした。少し気になる時に痛み止めを服用しましたが、結局使ったのは一回だけでした。青あざは一週間ほどでひき、元のように戻りました。
十日後に病院で術後経過を見てもらい、治療は完了しました。
眼帯とガーゼから解放された瞬間は視野が大きく開けたように感じました。それほどまでに治療の十日間は動きが制約されるものだったのです。

最後に

麦粒腫自体はよくかかる病気ではありますが、やはり素人判断は危険です。医師にも麦粒腫が霰粒腫に悪化した際に「なぜ一週間後にもう一度来院しなかったのか」と強く言われました。
というのも一週間後であれば、点眼薬で膿を早く出したり抗菌することによって悪化することを防ぐことができたからです。
「少なくとも切開まですることはなかったし、職場を休む必要もなかったのに」とも言われました。
筆者の場合、十日も業務を休むことになり職場に多大な迷惑をかけた上に、有給を消化しきって減給になりました。
肉体的にも精神的にも厳しい状況になったので、「ものもらい」になった方には、たかが麦粒腫と思わずしっかりとした治療を行うことを強くすすめたいです。