視神経症とは?
目に飛び込んできた情報を信号に変換して脳に伝達する「視神経」になんらかの障害が生じ、物を上手く見ることができなくなる病気です。その原因は様々で、合併症を発症していることもありますが、原因を特定出来ない場合もあります。
視神経症の症状
急激な視力低下を伴い、視界の中心や下半分が黒く塗りつぶされ目に見えないといった症状があらわれます。また、眼球を動かした時に感じる痛みや圧迫感を訴える場合もあります。
視神経症の種類
視神経症は原因や症状によって、主に以下のように分類されます。
視神経委縮
視神経が炎症を起こしたり、外傷、血管性変成などのなんらかの原因により視神経を圧迫することで、視神経繊維の機能が消失してしまう病気です。
病変部からの萎縮の状態により上行性萎縮と下行性萎縮と呼ばれるものがあります。
上行性萎縮は大脳方向に向かって萎縮が進行するもので、網膜方向に進行するものが下行性萎縮と呼ばれています。
視神経は障害を受けると回復しない為、再生するのはとても難しいといわれています。
視神経には毛細血管が多数ありますが、正常な場合は視神経乳頭は赤みを帯びた黄白色をしています。これに対して視神経の成分に異常がある場合は視神経乳頭が白っぽくなる特徴があります。
原因
外傷や炎症、腫瘍、また緑内障など、もしくは網膜疾患は周辺組織からの圧迫なる様々な原因があります。
症状
視力の低下、視野が狭くなることなどがあります。治療は難しいため、早期発見して病気の進行を食い止めることが必要になります。なんとなく物が見えにくい、視野がいつもと違うような症状現れた時は、すぐに眼科で診察を受けてくださいね。早急な対応をとることが治療にもメリットになりますよ。
治療方法
原因によって異なりますが、視神経萎縮が進行してしまうと元には戻らず、視力の回復は難しい状態になってしまいます。
特発性視神経炎
特発性視神経炎はある日急激に視力低下が生じ、視界の中心が見えなくなる「中心暗点」が引き起こされる場合がほとんどです。
また、視力低下のはじまる前の段階で眼球に痛みや違和感をおぼえたり、視野の一部が徐々に欠けていったり、視野全体に霧がかかったように見えるというケースもあります。
特発性視神経炎は女性に多いとされている病気で、特に20代~50代の女性に多くみられます。治療によって回復する場合も多いのですが、多発性の疾患に発展する場合もあります。
虚血性視神経症
虚血性視神経症は視神経の循環障害が急激に起こる病気で、脳でいう脳梗塞や脳卒中のようなものです。
この病気になりやすいのは高齢者で、原因は血行障害といわれています。
視神経の短後毛様動脈(たんこうもうようどうみゃく)、軟膜動脈(なんまくどうみゃく)、網膜中心動脈(もうまくちゅうしんどうみゃく)の3つの動脈系のうちのどれかの血行障害が原因です。
動脈炎型の場合は炎症が血管を閉塞することが原因で、膠原病や多発性筋炎や側頭動脈炎などを伴うことがあります。
非動脈炎型の場合は糖尿病、動脈硬化、高血圧など疾患が原因となることが多く、なかには視神経乳頭が生まれつき小さいにも起こる傾向があります。
症状
急激な片眼だけの視力低下ではじまり、なかには発症と同時に視力を失ってしまうこともあります。
動脈炎型の場合は短期間に両眼失明するリスクもありますので、緊急に副腎皮質ステロイド薬の点滴治療で全身状態の改善を行います。
予後
その後はステロイドの内服薬を処方することもありますが、完全に回復するのはとても難しいといわれています。
またビタミンB12を使用した内服薬で神経保護の治療を行う場合もありますが、糖尿病患者は生まれつき視神経乳頭が小さい人には他眼の発症リスクを予防するためにアスピリンを服用する場合もあります。
とくに高齢者の方、また糖尿病などの疾患がある方は虚血性視神経症のリスクが高いため、定期的なチェックをするなど、少しでも異常を感じたらすぐに眼科で相談をしましょう。
圧迫性視神経症
圧迫性視神経症は眼球から伸びる視神経が何らかの圧迫を受けて、視神経繊維に循環障害がおこる病気です。
原因
甲状腺機能の異常、眼窩(がんか)内の腫瘍、蓄膿手術後の嚢胞や悪性腫瘍、頭蓋内内頚動脈流(ないけいどうみゃくりゅう)などの圧迫により起こるといわれています。
症状
初期症状は視力低下、また視野が狭くなるなどの異常が起こり片眼に数か月にわたりゆっくり症状が進行する特徴があります。
この病気はほとんどの場合痛みがありませんが、副鼻腔の腫瘍が原因の場合は痛みを伴うこともあります。
視力の低下は中心部分におこることが多く、視力が低下しないこともあります。
ほかにも中心が見えにくい中心暗転、耳側や鼻側だけが見えにくい半盲性(はんもうせい)障害など色々な症状があります。治療は一般的には手術を行いますが、脳外科や耳鼻科との連携も必要になります。手術後のケアとして神経のサポートのためにビタミンB12のメチコバールと呼ばれる薬を内服します。圧迫性視神経症は早期発見して治療をすることが一番大切ですが、やっかいなのは自覚するまでに時間がかかってしまうことです。無痛で片眼に症状がおこり急激な発症がないため、たまたま片眼を閉じて初めて気が付くようなケースが多いのです。最初は視覚障害などの症状として始まりますが、進行すると眼球突出になる場合もありますので、大変注意が必要です。慢性的に進行する傾向がありますので、少しでも異常を感じたらすぐに診察を受け、CTやMRIで確定診断をしてもらいましょう。
外傷性視神経症
事故や転倒によって目を強打した場合に、視神経が傷つき障害が起こってしまう病気です。
外傷を受けてから24時間以内であれば副腎ステロイドを大量に投与することにより軽化が見込まれると言われています。
症状
打撲した傷側に起こる視力低下や上半分が見えない視野障害など、なかには鼻出血を伴うこともあります。
強く強打した時は意識障害を起こし、傷によりまぶたが晴れて眼がふさがってしまうようなことがありますが、このような場合は状態を自覚できないこともありますので、緊急に医療機関に行くことが必要です。
治療方法
骨折している場合は視神経管解放手術を行い、術後は薬物療法を続けることが必要になります。治療により回復しても、視機能が再び悪化する場合は血種の疑いもありますので、視神経菅減圧術が必要になるケースもあります。外傷の痛みの感じ方は個人差がありますが、万が一眉毛部を強く打撲した時は見え方の左右をチェックしてみましょう。視力や視野の異常を発見した場合は早急に眼科医で診察してください。まぶたが腫れた、意識がもうろうとしている場合も瞳孔検査は最低でも受ける必要があります。
中毒性視神経症
抗生物質や抗がん剤等、薬物の長期投与によって中毒症状を引き起こし、視神経に障害が生じ中心視力の低下になる病気です。
ほとんどの場合、薬物の使用を止めれば回復する可能性がありますが、薬物を長期的に継続使用すると元に戻らない場合もあります。
症状
両眼の中心が見えにくなる中心暗転と呼ばれる症状を起こし、ほかにも色覚異常、両眼の外側が見えにくくなる視野障害なども起こることがあります。
原因となる薬物
シンナーや農薬、抗結核剤のエタンブトール、抗不整脈薬のアミオダロン、抗生剤のクロラムフェニコールなどがあります。
またメチルアルコールの誤飲も原因となる場合もあります。
エタンブトール中毒の場合は1日量25㎎㎏以上を継続して服用した場合に多く発症しやすく、期間は早い場合で2か月、平均的には7か月ほどで発症します。
治療方法
まず原因となる薬物の使用を中止し、ビタミン製剤のメチコバールやビタミジンなどを使用します。
エタンブトール中毒の場合は服用を中止した場合でも、42%しか視力が回復しなかったというケースも報告されています。
この病気の検査や診断するには、ほかに抱える疾患があるか、薬物の使用、服用量、期間、病歴をまずは把握しないといけません。
視野検査、視神経機能検査を中心に行い、視覚誘発電位検査なども実施することがあります。
有機リンなどの薬物中毒の場合は尿検査で診断することも可能です。
どんな薬物が原因にせよ、効果的な治療をするためには早期発見と専門眼科医との協力が必要ですね。
投与を中断または量を調節することで改善が見込まれるため、医師への相談が必要になります。
遺伝性視神経症
遺伝性の病気で、男性に多くみられます。はやければ小学生頃から視力低下などの症状がみられますが、視野に関してはおおむね問題がないことがほとんどでしばしば誤認されますが、血液検査によって診断することができます。残念ながら有効な治療方法は確立されていません。
